フリーランスITエンジニアのすすめ

フリーランスITエンジニアの働き方についてのブログです

フリーランスにとって、最もアウトソーシングすべきでないものは「営業」

久しぶりに韓非子を読みました。

 

韓非子 (第1冊) (岩波文庫)

韓非子 (第1冊) (岩波文庫)

 

 

本書の特徴は、徹底した現実主義です。冷徹な人間分析です。ある意味、現代の「ウシジマくん」のような本です。

この本の主張で一番頭に残っているのが、「人間は利によって動くので、君主が部下に対する「賞罰」を他の人間にアウトソーシングしてしまうと、他の人間が部下をコントロールしてしまって、自分の立場を危うくしてしまいますよ」という警告です。

 

さて、我々フリーランスエンジニアはプログラミングやら営業やら事務作業と様々な仕事をこなさないといけません。その際、自分だけの手におえなければ、抱えている仕事の一部をアウトソーシングする必要が出てくると思います。

その時、どこをアウトソーシングし、どこはアウトソーシングしてはいけないのかを見極める必要が有ります。

 

私は「営業」こそが最も人任せにしてはいけない部分だと思います。

フリーランスエンジニアは結局のところスキルの切り売りです。自分の工数をいくらで売るかということです。

スケールできない分、選択した顧客が与える営業が大きいのです。不動産屋のようなものを売るビジネスとは違います。どれだけ顧客にコンタクトしても実際に取引できる顧客は1社のみです。

一つの顧客が、イコール自分の全てになってしまいます。どう「営業」をするかということが、フリーランスエンジニアとしての仕事のやり方自体を決めてしまいます。

また、IT業界は多重派遣のねずみ講ビジネスです。

多重派遣がまかり通っている以上、単価に対する影響は、スキル以上に「商流」の方が大きいです。

 

 コネがなく仕事を探すことができないため、エージェントを利用せざるを得ない場合もあるでしょう。しかし、それは一時的な手段とすべきだと思います。

エージェント従う以上、エージェントの単価の相場観に付き合っていかなければなりません。エージェントの労働市場は参入障壁が低いです。参入障壁の高い労働市場に移っていかなくてはいけません。そのためには、商流の上流と直接繋がらなければならないのです。それはエージェントにはできません。営業を人任せにしていてはいつまで経っても単価は上がらないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年の私の収支と、稼いでるようでそんなに貯蓄できないフリーランスの実態

とうとう今年も青色申告の時期がやってきてしまいました。とても憂鬱ですが、やらなくてはいけないものですので、仕方ありません。面倒臭いですが。

ただ、これを行うことによって自分自身の生活の実態というものが見えてくるということもあります。そう考えると、自分自身のためにもなっているのかもしれないですから、前向きに取り組んだほうがいいですね。

 

さて、今回はせっかくの機会ですので、フリーランスとして、だいたいこれくらい稼げばこれくらいの貯蓄ができますという収支を公開したいと思います。

これからフリーランスでやってみようと考えている方の目安にでもなれば幸いです。

 

 

前提条件

34歳フリーランスエンジニア

家族構成:妻(青色専従)、娘3歳

仕事:客先常駐&Javaの業務アプリケーションの開発が中心

住居:持ち家(住宅ローン+管理費もろもろで月7万)

保険とか:確定拠出年金(月5万円) 、生命保険(月1万円)

車なし

 

売上は約1060万円

今年の稼働率はめでたく100%でした。1月から12月まで、ずっと客先常駐していました。単価は、80万円台後半から90万円台前半でした。フリーランスエンジニアとしてはそこそこ恵まれている方でしょう。

レバレジーズのフリーランスエンジニアの平均年収が700万円台ですので、それと比較しても高い方ですね。お客様に感謝です!

freelance-it.hatenablog.com

 

貯蓄額はプラス約300万円

貯金額はプラス300万円でした。源泉徴収が10%されていることを踏まえると、還付があるので、実際にはもうちょっとプラスになります。

 

ですが、思ったより貯蓄が増えていないなというのが正直な感想です。同世代の一般的なサラリーマンと比較すると貯蓄できているのかもしれないですが、将来が保証されていないフリーランスであるということを踏まえると、もう少し貯蓄しないといけないかなと思います。

FPさんにも30台が貯金のしどきであり、貯金しておかなかった場合、50台で貯金が底をつくかもと言われましたかね・・・。(子供の大学の授業料とか怖い・・・)

 

考察

妻子持ちだと単価60万円くらいでトントンか

売上額から貯金できた額を引くと大体700万円くらいです。700万円といえば、単価60万円で稼働率100%の場合の売上です。エージェント経由の案件の単価のボリュームゾーンが60万円ですが、そのくらいの単価では家計はトントンくらいになってしまいそうですね。 

フリーランスは将来の収入の保証がありません。それを踏まえると、結構不安じゃないですかね。

フリーランス45歳定年説もありますし、エージェント任せ&その他の収入源を確保されていない方は、将来のことを考えておかないと50代前半くらいで生活が困窮してしまうかもしれません。

 

客先常駐スタイルでは売り上げは頭打ち

客先常駐スタイルではこのくらいの売り上げが限界なのかもしれません。ビジネスがスケールしないので、これ以上稼ぐには単価を上げなくてはいけないのですが、私のロールではこれくらいが上限かなと思います。頑張ればプログラマーでも単価100万円くらいはいけそうかなとは思いますが、法人化が必要になってくるかと思います。

 

やっぱり甘くないフリーランス

結論としては、生活は苦しくはないが、将来は楽観できない状況かなと思います。いつまで稼げるのかわからない仕事ですので、できるだけ貯蓄は増やしておきたいですが、社会保険料&税金などのマイナス分が大きくて、そこまで貯蓄額は増えません。(特に国民健康保険は60万円以上支払っていますし)

やっぱり、エージェントの広告に騙されてはいけませんね。フリーランスはそんなに甘くないのです。でも結局どれだけ稼いでも安心はできないのですけどね。それがフリーランスですから。それがメリットでもありデメリットでもありますね。

 

今年の目標

以上を踏まえたうえでの今年の目標です。

一つめは、「収入源の冗長化」です。やっぱり工数を売りさばくスタイルでは、売上の限界があっという間にきてしまいます。他の手法で稼ぐ方法を見つけたいですね。

でも、これって難しいですよね。アフィリエイトとかかなー。でも、今の時代、アフィリエイトとか斜陽ですよね・・・・。

 

売上が増えないとなると、出て行く分を減らすしかありません。

というわけで、二つめは、「国民健康保険料を安くする」です。税金&社会保険料のうち、一番大きい割合を占めるのが、この国民健康保険保険料です。これについては、健康保険組合に入るとか、色々と保険料を安くする方法があるので、ちょっとくらい面倒くさくても手続きしたいですね。

だって、国民健康保険高すぎなんですもの。

 

 

なぜ、独立した方が単価が高くなるのか

会社というのは「看板」という役割も果たしています。

ただし、「看板」にプラスの価値を持たせることができる会社は、このIT業界ではごく一部だけです。

この業界では、3重派遣4重派遣がメインの会社が多いですが、このような会社では看板に価値を持たせることができません。「看板」もなく営業力も弱い会社は、エンジニアに付加価値を持たせることができません。このような会社に所属している場合、フリーランスで仕事をするよりも単価が安くなってしまう場合があります。

 

フリーランスエンジニアAさんの例

私の知り合いのフリーランスエンジニアのAさんもそのパターンでした。彼は中小ソフトハウスに在籍しており、単価60万円で客先常駐していました。彼は30代後半のベテランエンジニアでしたが、会社の営業力が弱く商流が長いため、スキルの割に単価が安く、会社員エンジニアとしてはかなり安い単価で契約されられていました。

彼の年収は400万円台でした。単価から考えると還元率はかなり高い基準ですが、彼のスキルからすれば、正直なところ安いと言わざるを得ない水準です。

 

というわけで、彼は独立したわけですが、すぐに売上1000万の大台を突破することができました。会社員時代に築いたコネを利用し、クライアントと直接契約することで、会社員時代よりも高い単価で契約することができたのです。

 

なぜ、独立後の方が単価が高くなるのか

このような単価の逆転現象は、Aさんに限った話ではありません。むしろ、かなり「よくある話」です。

では、なぜ、このような現象が起きてしまうのでしょうか。

エンジニアの多数が所属する中小ソフトハウスでは、稼働率を重視する場当たり的な営業をしています。 また、実態は労働者派遣業ですから、エンジニアに付加価値を持たせるということができません。営業も自社のエンジニアの価値がわかっていません。

そもそもエンジニア派遣は薄利です。「数を打ち込む」ことが重要なわけです。

結果として、前述のような状態になってしまいます。

一方でフリーランスは自分自身のみが商品です。数ある案件の中から一番条件のいい案件のみを取ればいいんです。稼働率のために安い案件を無理に受ける必要はないんです。

また、仕事の探し方についても柔軟性があります。自分の名前を利用して商流の上流のクライアントに対して直接売り込みをかけた方が会社員時代よりも良い条件で契約が取れます。

 

まとめ

極論を言ってしまえば、「営業力の低い会社に在籍するメリットはない」ということです。このような存在意義のない会社に所属しているエンジニアはさっさと独立してしまった方がいいでしょう

正直なところ、中小ソフトハウスの 単価は安すぎると思います。ベテランでも60万〜80万ですからね。単価の相場がフリーランスと変わりません。

それを考えると、むしろ、フリーランス個人で「By Name」のアサインを獲得した方が条件のいい案件が取れると思います。

 

なお、仕事の探し方については、以前以下のエントリを書きました。ご参考まで。

freelance-it.hatenablog.com

新卒フリーランスなんて正直やめておけと思う

新卒でフリーランスになるものいいじゃないかという風潮があります。
個人の自由ですから、勝手にしてくださいというところなのですが、私自身のフリーランスとしての経験や、個人的な価値観からすると、「まぁ、おとなしく2,3年は会社員やっとけ!」と言いたいのが正直なところです。

ちなみに、

freelance.levtech.jp

freelance.levtech.jp

といったように、我らがレバなんとなさんが煽っておりますが、新卒でフリーランスになんかになってしまっては、エージェントのカモですね(といっても、まぁエージェントと関わらなくても、純粋無垢な若者なんてどこへ行ってもカモにされるだけだと思いますけどねw)。
そんなわけで、純粋無垢な若者が冷静に身の振り方を検討できるように、会社員になるメリットを強調したいです。

 

フリーランスにはいつでもなれるけど、大企業は新卒のときにしか入れない

零細企業はまだしも、そこそこの大企業に就職するならば、やはり新卒が有利です。
逆に、会社員経験のないフリーランスがこの手の企業に就職するのは難しいです。
大企業は教育もきちんとしていますし、待遇もいいです(もちろんその企業によりますが)。
それを試しもしないで、選択肢から除外しちゃうなんて純粋にもったいなくないですか?
フリーランスなんていつでも成れるんだから、見とくだけでも見ておけばいいのにと思います。
会社なんて嫌だったらいつでもやめれますしね。

新人研修を受けることができる

大企業の新人研修ってメチャクチャお金がかかってます。教育がしっかりしている会社では、丸々一年間教育していたりしますが、一人当たり百万単位のお金がかかっていると思います。その間にお金も貰えますし、職業訓練校として考えればすごく優良です。

 

コネが作れるので、フリーランスになってからも営業が捗る

このブログでは今までコネの重要性をかたってきましたが、これが一番のメリットだと思います。
自分が今やってこれているのも会社員時代のコネのお陰です。
会社員時代の同僚が、他社に転職してそこから仕事を持ってきてくれるなんてこともあります。

フリーランスだとそれがないですね。まぁ、フリーランス同士でも付き合いはあるでしょうが、人間関係が疎結合が分だけ、ある程度まとまった人間関係を作ろうと思うと難しいです。
その点、会社は出会い系としてはかなり優秀であると思うんですよね。

 

そもそも技術力さえあれば稼げるというのは、ほぼ間違い

なんかこの手のフリーランスを勧めるエントリは問題を単純化しすぎているような気がします。
「シンプルに考えればいいです!」という文句が多いですが、実際の社会はそんなに単純じゃないですからね。
仕事以外でも学歴とか資格とか見られたりしますし、肩書も重要だったりしますし。
まぁ、よく分からないんだったら、「右へならえ」が正直無難だと思っています。
もちろん、ずば抜けた能力があれば別ですよ。でもそんな人って一握りじゃないですか。だから、おとなしく就職しておいて、様子を見て今後の身の振り方を考えるというのも悪くないと思うんですよね。

それを踏まえずに、とりあえずシンプルに考えればOK!ってのは、正直なところ純粋無垢な学生を騙そうとしているのかなぁとか思っちゃいます。

 

まとめ

フリーランスでも会社員でも、結局のところ、プラットフォーマーの上で踊らされるだけなんですよね。
フリーになったところで、エージェントなんかの鵜飼の鵜になるだけですし。まぁ我々個人の力などたかが知れています。本質的なところでは大差ないと思っています。
だからこそ、フリーランス、会社員の枠にとらわれずに、今後どういう風に生きていくかを考えないといけないと思います。そのうえでメリットデメリットを考慮し、必要があればフリーランスを選択すればいいのではないでしょうか。フリーランスになることを目的にするのは違うと思います。
貴重な新卒の切符です。エージェントに騙されないでくださいね。

あ、ちなみに私は、新卒で就職しましたが、その会社は半年でやめていますw

 

 

頑張らずに儲けることがフリーランスの醍醐味

会社員は頑張らなければなりません。しかし、その目的は成果を出すためではなく、頑張る姿勢を周囲に見せるためです。

blog.tinect.jp

上記の記事にもあるとおり、連合会長でさえ、「頑張り=収入」と捉えています。この考え方を前提にしてしまうと、そもそも生産性を上げようなどとという発想が出てきません。寝てても金が稼げる仕組みを作ることが理想だと思いますが、そんなことは許されません。

 

一方、フリーランスは全く異なります。フリーランスの収入は頑張りではなく、成果に対して支払われます。よって、収入を上げるためには生産性を上げなくてはいけません。

これは逆に言えば、頑張らずに儲けることもできるということです。これはフリーランスをやる上での大きなメリットではないでしょうか。

フリーランスの一番のデメリットは、会社員が馬鹿らしくなってしまうこと

フリーランスになった時に、先輩フリーランスの方から「フリーランスは三日やったらやめられない」と言われたことがあります。

その時は、ただ単に「ふ〜ん」としか思っていなかったのですが、フリーランスも4年目になって考えてみると、「たしかにフリーランスはやめられん」とひしひしと感じます。

 

フリーランスをやっていて感じる、一番の魅力は仕事の選択権です。

会社員の時には、会社が選んだ案件に突っ込まれるしかありませんでした。参画した時点で無理ゲーな案件もありましたし、無茶な案件であると会社にアピールしてもなかなか撤退させてくれません。

一方、フリーランスではそのあたりを柔軟に自分自身で調整することができます。また、仮に案件に参画してみて合わなければ、抜けることもできます。この業界にはたまーに、周りのエンジニアをいじめることを生き甲斐としているような人間がいたりもしますが、そういう変な人間がいたら逃げることができます。

「IT業界=ブラック」というのはよく言われていることですが、案件を選択できれば結構ホワイトな業界じゃないかと思っています。(椅子に座って仕事しているフリをいればいいし)

そういう意味では、この「仕事の選択権」はすごく大きいです。精神的ストレスの大きさが全く違います。

 

で、この「仕事の選択権」を捨ててまで、あえて会社員として就職しようとするのってすごく抵抗があるんですね。だって、一回フリーランスをやってしまうと、この辺りの旨みが肌でわかってしまうし、むしろ「仕事の選択権」を捨てることを怖いと思ってしまう。

 

これはある意味、フリーランスになったことのデメリットでもあると思うのですよね。コネの構築や技術の習得のために会社員になった方がいい場合でも、「会社員は馬鹿らしくてやってられない」、「会社員は怖い」と思ってしまう。つまり、キャリアの選択肢が狭まってしまっています。

 

フリーランスになってしまうと、後戻りして会社員になるのは難しいです。それは、採用する側の問題ではなく、エンジニアの気持ちの問題です。

とはいっても、フリーランスから会社員になった方も周りに多くいます。こういう方は、話を聞く限り、フリーランスとしての不安定さによる居心地の悪さに耐えれなかったというケースです。

結局のところ考え方は人それぞれということですが、フリーランスに居心地の良さを感じる方は、もう会社員ではやっていけないと覚悟をした方がいいかと思います

今更ながら「フリーランス残酷物語 Advent Calendar 2016」を読んでみて

皆さん、あけましておめでとうございます。

お正月休みということでしばらくブログ更新をサボっていました。

 

さて、昨年Qiitaでフリーランス残酷物語というAdvent Calendarが催されていました。もちろん私は書いていませんが、なかなか興味深い内容も多いです。

qiita.com

みなさん結構よく書いていて、よくある「フリーランスとは」というものから、自分自身の悲惨な体験談など様々です。ただ、残酷物語と謳っている割には残酷でもなく、この点ではみなさんフリーランスとしてそこそこ上手くいっているようですね。

この中で一つ気になったのは以下のエントリです。

blog.s17er.com

大まかには、会社から独立し、コネなしでフリーランスになってみたものの、仕事取れなくて詰んでしまったという内容でした。これは独立して失敗する典型的な例ではないかと思います。ここまでひどい例ではなくても、仕事の取り方がわからず、胡散臭い営業に捕まって、カモにされている例は周りでも聞いたりします。

 

ちなみに、私が経験した残酷な話としては、

  • 後から条件を勝手に変更してくるクライアント
  • 受注金額と異なる金額を振り込んでくるクライアント

などなどお金がらみの話が多いです。やはりフリーランスという立場上、なめられやすいというのがあり、気をつけなければならない点であると思いますね。

知り合いのワンマン企業では、取引先から数百万の金額で支払い遅延があったそうです。その企業ではそれ以来、顧問弁護士を置くようにしたとか。

そういう面倒ごとが嫌ならばエージェントを通す方が安心かもしれませんが、取引先の目利きというのも自営業者のスキルの一つなわけで、避けては通れないところではあると思います。